クラウドビジネス参入記(1): クラウドインテグレータになるということ
国際大学GLOCOM客員研究員、社団法人クラウド利用促進機構アドバイザーの林 雅之さんのクラウドビジネス再入門(4)クラウドエコシステム形成のための5つのプロセスを拝読させていただきました。
非常に解りやすくまとめられた内容でストンと腹に落ちる良記事です。
そこで当エントリ以降数回にわたり少し趣向を変えまして弊社のクラウドビジネス参入記を記したいと思います(これは稀に見る企業による自分語りなのでウザいと思われる方興味のない方は迷わずスルーすることをお勧めします)
※なお、このエントリは弊社の経験に基づく事実や判断を参考までに発信するものであって正否の判断は各々にお任せします。
まず、我々はクラウドインテグレータの定義を以下だと考えています。
- クラウドサービス提供者とエンドユーザを仲介し契約締結する
- クラウドサービスを導入/運用するエンドユーザを支援する
この定義だけ見ますとクラウドならではの業態ではありません。既存ビジネスとしてパッケージベンダの導入パートナーなどは同じようなビジネスだと思います。
ちなみに林さんの記事にクラウドブローカという定義がありますが、これは「クラウドサービス同士のマッシュアップや付加価値を付け再販する」ビジネスであり、実はこれこそがクラウドならではの業態ではないでしょうか。
もちろん技術的にクラウド以前にも各パッケージソフトやASPサービスを連携させることは可能でした。ただ、当時の連携手法はプロプライエタリな独自仕様であったり、理想ばかり大きくて実用性に欠けていたり、今のように個人でも学習すれば様々なプラットフォームと自前のシステムやWebサイトを連携させられるほど簡単なものではありませんでした。
と言いますか、歴史を見るとマッシュアップこそがクラウドの発火点であったように見えます。技術的にサービス(システム)連携がコモディティ化したことこそクラウドを押し上げた要因ではないでしょうか。
ということは、クラウド界隈へ参入するということは「クラウドサービス同士のマッシュアップや付加価値を付け再販する」ことをメインとしたビジネスモデルでなくてはならないでしょう。
つまりクラウドインテグレータになるということは「クラウド案件を増やして時代に乗り遅れないようにする」ことではなく「クラウドサービスを駆使して付加価値の高いサービス(製品)を再販できるようになる足がかり」であり、その先にはクラウドブローカに発展させることを想定しなければならないということだと考えます。
では我々が当初からクラウドブローカを志していたのか?
残念ながらそんな高尚な話ではありません。
弊社が自社の強みであるWeb技術を駆使してSalesforce関連事業に参入した6年前、日本の一般社会ではクラウドコンピューティングという言葉がバズり始めた頃で、言葉はよく耳にするけども実態は何なのか?定義が今よりも曖昧で、ちょうど現在のビッグデータのようでした。
そんな中、我々は自社の営業支援システムとしてSalesforceを導入し、自社利用によりSalesforceの利便性を肌で感じ、それまでに培ったWeb技術を駆使すれば、より便利にカスタマイズできるポテンシャルに惚れ込み、同じように導入を考えているエンドユーザを支援するビジネスへ参入しました。
つまり、我々もクラウドインテグレータ(そんな言葉はまだなかった)になることが当初の目的でした。色々と悩む前に先ず体験し、ベンチャーならではの迅速な決断の連続の中で徐々に世界が開けて見えてきたというのが本当のところです。
次回以降の数回のエントリにわたり、弊社がクラウドインテグレータから更に先を目指していく変遷を記していきます。一応、今のところ「Salesforce案件と既存SI案件との違い」や「クラウド時代に必要なエンジニア像」など弊社なりの考えと、それに至った経緯などを記していく予定です。